Q&A
女性のかぶるヴェールがイスラームの代名詞!という印象があったので、エジプトでは元々ヴェールがかぶられていなかったというお話を聞いて、とても驚きました。どのような経緯でそうなったのでしょう。
正確に言うと、エジプトでは20世紀初頭までムスリムも、それ以外の宗教(ユダヤ教・キリスト教)の信徒も、女性の多くがヴェールで顔を含めて全身を覆ったり、隔離されたりしていました。階層が上がれば上がるほど厳重に隠されました。それが20世紀はじめ頃から、欧米の思想や情報の影響もあり、女性の顔覆いや隔離が批判されるようになりました。まずユダヤ教徒やキリスト教徒の女性たちがヴェールを脱ぐようになり、しだいにムスリムの女性たちもヴェールを脱いで洋装や帽子を身にまとうようになりました。20世紀半ばには、ヴェールは階層の低い、教育のない人のものと言われるようになりました。その後、一転して今度はヴェールをまとう人が増えていきます。いったい何が起こったのか。この点は、そこら中で書いているので、ぜひどこかで読んでいただければと思います。 後藤絵美(2014)『神のためにまとうヴェール――現代エジプトの女性とイスラーム』中央公論新社。 後藤絵美(2021)「イスラームのルールはどうつくられるのか」高尾賢一郎・小柳敦史・後藤絵美編 『宗教と風紀――〈聖なる規範〉から読み解く現代』岩波書店。 後藤絵美(2023)「エジプト◇女優たちの神学」岡真理・後藤絵美編『記憶と記録にみる女性たちと百年』 (イスラーム・ジェンダー・スタディーズ5)明石書店。
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